春分の日めでたく生還

 手術そのものはとんでもない1日だった。
まな板の上の鯉だから、とにかく待ちましたよ。
午後1時半の予定が、前の患者さんたちの手術が
長引き5時からになった。

 手術本番は手術室七つもあって、スゲーと驚いた。先ず、赤ちゃんがお母さんのお腹のなかにいるみたいに、頭と膝がくっつくように、又は
海老のように、背中を丸め、背中から痛み止めの注射を打つ。そのあとはどーなったか全然わからなかった。

 テレビとまるで違い、数を数えるどころか、知らないうちにオペは終わった。先生が手術終わりましたよ。此処はICUですよ。といわれて、周りを見ると家族が覗きこんでいた。何と驚いたことに、五時間もかかり、10時だった。

 実は、直前まで凄い夢をみていたことに気がついた。多分、切り取った大腸のきれはしを、臍から引っ張り出すことからの連想だと思うのだが、麻雀のイーピン、リャンピン、サンピンがぞろぞろ、穴を通りぬけようとするが、孔にひっかって出ない。それが物凄く辛かった。

 ところが、これは腸からだと思うが、内容物が逆流してきて、吐きだしたいのが詰まっていたみたいで、出たら楽になった。

 この吐瀉は喉の筋肉に後遺症を残し、痛みが残った。

 次の朝は春分の日だった。雪が降ったというのも驚きだった。

 次回は術後の体験を綴る。入院の暇潰しだが、お役に立てば幸いだ。